「有限会社を株式会社へ変えるのに純資産の証明書はどう作るのですか?」という質問をいただきました。
確かに旧商法では有限会社から株式会社へ組織変更するには、純資産として金1000万円以上あることが必要で、登記にはそれを証する貸借対照表が必要でした。そして多くの有限会社はそのハードルをクリアできず、株式会社への組織変更が出来ないでいました。
また、株式会社に組織変更するには旧商法では取締役が3名以上、監査役が1名以上必要でしたので、取締役1人の有限会社などは他の役員を補充できずに、組織変更をあきらめていました。
それが改正会社法が施行された本年5月1日からは純資産が1000万円あることが必要という要件は無くなり、また、取締役3名以上監査役1名以上という機関設計の制限もなく、そのままの体制で株式会社になることが出来るようになりました。
ですから、今では資本金300万円、取締役1名の有限会社は資本金300万円、取締役1名の株式会社に変更する事が可能です。
また、資本金1円の確認有限会社も資本金1円の株式会社に変更が可能です。
◆有限会社の株式会社への以降手続きは以下です。(整備法45条、46条)
1、株主総会の開催
議案 商号変更 有限会社○○から株式会社○○へ変更
株式会社の定款の承認(新たに定款を作成することが必要)
2、会社実印の発注 株式会社の印鑑を作成
3、登記申請(1件目と2件目を同時に申請)
1件目 商号変更による設立 登録免許税 資本金の額の1000分の1.5
それが3万円に満たない場合は3万円
2件目 商号変更により解散 登録免許税 3万円
4、登記必要書類
株主総会議事録
定款
委任状
代表者の個人の印鑑証明書(3ヶ月以内) 1通
改印届け用紙
◆ 編集後記
新しい会社法の世界はサプライズの連続です。旧商法でいう「第三者割当」、新会社法では「募集株式の発行」と言う事になりましたが、その議事録等、必要書類一式を条文から作成してみました。学者さんは概念を論じていれば良いですが、司法書士は「手続きは?」「議事録の文言は?」「で、それで登記できるの?」と実際に会社法を使う手続きです。「現場最前線」ホントにそんな感じ。
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